【徹底解説!】ふるさと納税のメリット
年末が近づいてくると、よく話題になるのが「ふるさと納税」。
返礼品を楽しむ様子をSNSに載せる人も多く、制度として浸透したように見えます。だからこそ、いまさら聞けない「ふるさと納税」の仕組みとメリット、注意点をまとめました。
目次
ふるさと納税とは
「ふるさと納税」とは、進学や就職で地方から都会へ生活の場を移した人たちが、自分を育んでくれた「ふるさと」に自分の意思で納税をして、故郷の自治体の税収につなげる制度として、2008年に始まりました。
ただし、実際に行うのは、納税ではなく「寄付」です。
納税者が地方公共団体などに対し一定の条件で寄付をすると、寄付金控除として所得控除あるいは税額控除を受けることができます。この仕組みを活用し身近にしたのが、「ふるさと納税」制度になります。公益社団法人や認定NPO法人などへ寄付をした場合も、寄付金控除を受けることができますが、これらと「ふるさと納税」の一番の違いは、「ふるさと納税」制度を採用している自治体のほとんどが、寄付に対して返礼品を用意しており、寄付をする前にその返礼品がなんであるのかを確認できるところです。
返礼品はその地方特有のものが多く、野菜やお肉、お菓子などの名産品から、マラソン大会の出場権など多岐にわたります。
つまり、「ふるさと納税」制度は、税制優遇を受けながら、地方の特産品を楽しめる魅力的な制度です。
ふるさと納税のメリット
「ふるさと納税」のメリットは、次の3つです。
・返礼品がある
・税制優遇を受けられる可能性がある
・寄付先を選べる
・ふるさと納税と返礼品
「ふるさと納税」をすると、寄付をした自治体の名産品や特産品が返礼品として送られてきます。また、あらかじめ返礼品を確認してから寄付をすることができるため、自分の故郷以外でも返礼品の内容で寄付先の自治体を選ぶことができます。
・税制優遇を受けられる可能性がある
選んだ自治体に寄付(ふるさと納税)をした場合に、寄付額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除されます。(一定の上限はあります。)
例えば、年収700万円の給与所得者の方で扶養家族が配偶者のみの場合、30,000円のふるさと納税をすると、2,000円を超える部分である28,000円(30,000円-2,000円)が所得税と住民税から控除されます。
そのため「ふるさと納税」は、一定の上限額までは、実質負担2,000円で日本各地の名産品・特産品を入手できる制度といえます。
また、寄付金額をクレジットカードで支払うと、クレジットカードのポイントが付与されるのもいいですね。
・寄付先を選べる
「ふるさと納税」は、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」ですが、「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」でもあります。自分の生まれ故郷に限らず、どの自治体にでも寄付をすることができるので、それぞれの自治体がホームページ等で公開している、寄付金の使い道やふるさと納税に対する考え方を見た上で、応援する自治体を決めることが可能です。
自治体によっては、まちづくりや復興支援など、寄付金の使い道を指定できるところもあります。
旅行で訪れたときに心からのおもてなしをしてくれた温泉町、災害による被害に苦しむ町、育ててくれた大切な故郷。ご自身が協力したいと思う自治体に「ふるさと納税」をするのもいいでしょう。
2019年6月より、寄付金額に対する返礼品の金額の割合は3割が上限で、返礼品は地場産品であることと、総務省によりルールが改正されました。寄付者を多く募るために、地元の特産品とは呼べないような商品や、高額な返礼品を用意する自治体が現れたためです。お得さにとらわれることなく、頑張っている自治体を応援する気持ちを忘れずにいたいですね。とはいえ、自治体は、より魅力的な返礼品を用意していますので、選ぶ楽しさが変わることはありません。
ふるさと納税の手続き方法
「ふるさと納税」は、各自治体が返礼品を掲載・寄付の申込受付を行っている納税ポータルサイトから行うことができます。
最近、偽サイトが確認され実際に被害も出ています。十分にご注意ください。各自治体のホームページには、対応している納税ポータルサイトが掲載されています。
また、サイトによって選べる返礼品が異なる自治体や、郵送やFAXで寄付の申込受付を行っている自治体もあります。手続き書類のフォーマットも自治体ごとに異なりますので、注意が必要です。
1.控除額の上限を調べる
自己負担が2,000円となる控除上限額を調べます。
控除額は収入と家族構成によって異なります。
総務省のホームページでは納税額の目安を確認したり、寄付金控除額の計算シミュレーションが行えますので参考にしてください。 → 総務省|ふるさと納税ポータルサイト (soumu.go.jp)
ふるさと納税ポータルサイトでは、簡単シミュレーションのほか、源泉徴収票や確定申告書をもとに詳細シミュレーションができますので、より確かな上限額を知ることができます。
2.自治体に寄付をする
ふるさと納税ポータルサイトでは、地域や返礼品から「ふるさと納税」を受け付けている自治体を探すことができます。同じ自治体でも、サイトによって掲載されている返礼品が異なることもありますし、時期によっても変わることがあります。
「ふるさと納税」はあくまでも寄付ですから、金額の上限はありませんが、控除額の上限を超えた部分は税制優遇されませんので注意しましょう。
3.控除手続きをする
寄付金控除の申請には「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の二つの方法があります。
・ワンストップ特例制度
「ワンストップ特例制度」は寄付をする際に特例申請書と本人確認書類を提出すると、寄付先の自治体から自身が住んでいる自治体へ連絡されるため、確定申告をしなくても翌年分の住民税から控除されます。
<ワンストップ特例制度の対象となる方>
・もともと確定申告や住民税申告をする必要のない給与所得者
・年間寄付先が5自治体以内
(1つの自治体に複数回寄付した場合でも寄付先が5自治体以内なら対象)
・「ふるさと納税」以外に確定申告・住民税の申告を行う必要がない方
ポータルサイトより「ふるさと納税」を申し込むと、寄付先の自治体から「ワンストップ特例制度」の申請書が郵送されてきます。必要事項を記入した申請書を、寄付をした 翌年の1月10日必着 で寄付先の自治体へ送付する必要があります。(間に合わなかった場合や、結果として6自治体以上に寄付をした場合は、確定申告が必要となります。)
ワンストップ特例申請書は、寄付を行った回数分の提出が必要です。
・確定申告
確定申告書類とともに「寄付金控除に関する証明書」または「寄付金受領証明書」を税務署に提出し確定申告を行うと、所得税は本年度分から還付され、住民税は翌年度分から控除されます。
<確定申告の対象となる方>
・「ふるさと納税」以外の確定申告が必要な方
・年間寄付先が6自治体以上
・ワンストップ特例制度の申請期限に間に合わなかった場合
「確定申告」の場合は、寄付をした翌年3月15日が申告期限となります。
ふるさと納税の注意点
・余裕をもって申込を
「ふるさと納税」に期限はなく、1年中申し込むことができます。
ただし、1月1日~12月31日までに行った分が当年度の所得税の還付、翌年度の住民税の控除の対象となります。
年末は駆け込みで寄付をする人も多く、ワンストップ特例制度の申請までの期間も短くなりますので、余裕をもって申し込むようにしましょう。人気の返礼品は取り扱いを終了してしまうこともありますから、計画的に申し込むことをお勧めします。
・住宅ローン減税を受けている方は注意
所得税の還付と住民税の控除が対象となる確定申告に対して、ワンストップ特例制度では住民税の控除のみが対象となります。ワンストップ特例制度では、確定申告においては所得税で還付される額も含めて住民税の控除額となりますので、どちらで手続きをしても、原則として差額は生じません。
ただし、住宅ローン減税の適用を受けて、所得税額が0円となっている方は、確定申告よりもワンストップ特例制度で申請した方が、節税効果を余すことなく得られる可能性があります。
・注文者情報が寄付者情報とみなされる
例えば、夫を寄付者としたいのに妻の名前で申し込みをすると、寄付証明書は妻名義となるため夫は控除を受けられません。
また、ワンストップ特例制度への記入住所は、寄付した翌年の1月1日時点で住民票がある所在地となります。
もし申請書を提出後、寄付した年の翌年1月1日までに名前や住所等の変更があった場合は「申請事項変更届出書」を、1月10日までに申請書を出した自治体に提出する必要があります。
まとめ
ふるさと納税ポータルサイトを見ていると、いろいろな地域の名産品を知ることができ、意外な返礼品に驚くこともあります。また、普段は目にしない各自治体のホームページには、新たな発見があることも少なくありません。
「ふるさと納税」は、「翌年、住民税を納付する予定の人が、2,000円以上の価値がある返礼品を選んで、控除上限額までの寄付を行えば得をする」制度ですが、「自身が住んでいる自治体に納めるはずだった税金を別の自治体に寄付する」制度でもあります。だからこそ、自身の節税効果を確認すると同時に、寄付先の自治体で寄付金がどう生かされているかにも注目して、「ふるさと納税」制度を活用していきましょう。